12/30/2009

Dior表参道・妹島和世


 夜の表参道に咲く徒花。闇夜を背景に妖艶のオーラが香る白亜の光塔。気が狂うほどにセクシーな悪巧みが隠蔽されてる。華奢を装う妖美な制震構造は秀逸です。さすがDiorっす。

 さて、今回取り上げるのは「Dior表参道」です。先日オープンしたジャイルの、小道を挟んだ左隣に位置してます。この建物は、・・・セクシーですよ〜。私、大好き。スケスケのレースを思わせる真っ白なファサード(建物の表層のこと)は、正にウエディング・ドレスです。気品を醸し出しながら、セクシーそのもので「あのウエディング・ドレス、脱がせてみたい」なんて思うのは、私だけかしら。

 表参道のウエディング・ドレス。いや、ネグリジェと言った方がいいかも。夜見ると一段と色っぽいっす。ホント、気が狂うほどドキドキしちゃう。何ともいえないアクリルのカーテンが白いヨコシマ模様で誘惑するんです。夜、このネグリジェを見ると、これは、もう、絶対、脱がせたくなっちゃう。だって、白いヒラヒラが「脱がせて」って言ってるじゃない。

 透けるアクリルのカーテンは透明度が階によって違ってるんです。その手前にあるガラスはシール止めとし、野暮な縦枠の方建て(ほうだて。サッシの縦の骨組み桟のこと)がないカーテン・ウォールになってます。あの肌の色合いの美しい美脚を隠すシルクのレースみたい。計算された夜間照明に浮かぶヒラヒラは図面では表現できないわけで、設計者の感性の豊かさを感じちゃいますね。アクリルに光を当て、複雑な反射による妖艶な表情は、表参道の闇夜に建つ白亜の光塔となって存在感を主張してます。夜の大人の街、表参道にぴったりです。

このビルの前では、あなた自身が夜のアクセサリーです。甘い不安と切ない期待、目的のない下心に、口当たりの良い喧噪や無責任な視線が交差します。その場だけで蒸発してしまいそうな人間関係でもいいじゃないの。夜のデートコースには、このビルの前を歩いて、都会的な、いい加減で曖昧なお付き合いを楽しめます。

 単純な形の建物に見せて、超・複雑な表情を演出してます。何階建ての建物だか判ります? 各階の階高(かいだか。床から次の床までの高さ)を変えてあって、8層に見えて4階建てといえる建物です。階と階の間には設備機器のフロアーを置いてあるそうです。このビルの中にも柱は1本もありません。階段とエレベータの2本のコアで保ってる建物です。なんと肉厚38ミリというとんでもない鋼管や3階上部には鉄骨トラスが隠され、地震対策には制震パネルが多用されています。外観と全くマッチしない忌まわしい程の完璧さを備えています。このセクシーな建物の深奥にはとんでもない悪巧み的構造が隠蔽されてます。世の男性諸君。見た目のセクシーは内部にとんでもないものが遮蔽されている事を肝に銘じるべきです。ご注意あれ。

 で、これを設計したのは、なんと、女性です。妹島和世と言う、女流建築家でございます。きっと、ものすごい美人だと思ってますが、どうなんだろう。お会いしたことはありません。年齢も知りたくないので判りません。若い男を誘い込んで、「妹島和世+西沢立衛 / SANAA」という設計事務所を2人で主宰してます。女史は慶応で教え、男は横浜国大で教えているようで、私も少しは見習わねばならぬほど、アカデミックなお二人ではあります。

 この建物を見に行くには、夜がおすすめです。


 必ずこちらもお読み下さい。

 写真はまとめてここにあります。

 この原稿は、下記の人気サイト

 おもてサンドたてもの観察ゼミに紹介されたモノで、

 全て私が写真を撮り、文章を書いたモノをベースにしています。


12/27/2009

GYRE(ジャイル) MVRDV


 2007年11月2日(金)朝11時にオープンしました。何かと話題になっているビルでもあり、野次馬根性丸出しで出かけました。実は、10時チョット過ぎに行ったら未だ開いてなくて、CHANEL のお店を覗いたら、開店は11時、みたいな看板が立ってまして出直しました。オープン前には、黒っぽいスーツ姿の関係者とおぼしきオジサマ方を遠巻きに、老若男女が列をなしてまして、安藤忠雄の「表参道ヒルズ」のオープン時の人の多さを見てますんで、驚きもせず余裕でした。

 基本設計はオランダの建築事務所、MVRDVという若手建築家集団(と言ってもオジサン)です。アルファベットを並べただけの設計事務所の名前は欧米に多く、私が昔働いていたアメリカの設計事務所は PGAV と名乗っているところでした。MVRDV は事務所設立時のメンバーの、Winy Maas、Jacob van Rijs、Nathalie de Vries の3人の頭文字からとってます。オランダを代表する建築家集団で、私の印象ではキャンティ(方持ち梁)が好きな連中ですな。今回の「GYRE(ジャイル)」も建物の外観はキャンティを多用して凸凹してます。

 このビルで特筆すべきは、日本のゼネコンの雄「竹中工務店」です。事業主、総合プロデュース、設計、施工、全て竹中工務店なんです。基本設計以外の実施設計や構造・設備設計を含めて、全ての設計は竹中工務店設計部の仕事です。デザイナーとしての「建築家」の仕事ではなく、技術屋集団としての「建築士」たちの仕事です。加えて、施主も竹中で、総合プロデュースまでしちゃってますから、無論、施工も竹中です。構造は鉄骨造で、地下2階、地上5階の建物です。

 GYRE(ジャイル)とは、渦、回転するというコンセプトだそうで、「一層一層が回転したようにねじれており、それにより生じる空間にテラスを設け、豊かな環境を創出しています。それらテラスを繋ぐように設けられた外部階段を、外周を囲うように上っていくことも出来、渦、回転を体現しています」との竹中のコメントですが「そうかなー、後付じゃないの」と感じ取っちゃうのは私だけかしら。左隣には妹島和世がデザインした真っ白な矩形の Dior がありますが、かなり意識して黒っぽいデコボコを造ったような印象を持っちゃいましたね。建物としての、MVRDVの破天荒な冒険や隣の妹島 Dior のような新たな提案は感じなかったんだけど、使っている色が通常とは違っている事くらいですかね。それが成功したかどうかは、これからの表参道フリークたちの反応次第かな。

 内装の基調色は白と黒で、ステンレスの鏡面仕上げを多用してるので空間の反射が映り込んで虚像があちこちにあって、おっとっとなんてことがあったりして面白いといえば、面白いかな。建物中央にある大きな吹き抜けは、商業施設では珍しく「黒」の雰囲気でした。吹き抜けの天井と言うかガラス屋根のデザイン的処理がイマイチで、建物全体のデザイン的統一感を壊しちゃってるような気がする。因みに、内装デザインは商業店舗を多く手がけてきたエイジ(本社:東京都目黒区、代表:佐藤一郎)と言うところだそうです。

 店舗展開のコンセプトは「コンシャス・ラグジュアリー」なんですって。常に意識の高いショッピング・スタイルを楽しみ、より価格が高くても、賢く、節度のある“正しい”ものを選ぼうとする人、品質やトレンドは犠牲にしないという方々の為のショッピング・モールみたいですよ。太ったお財布にキャッシュカードを2,3枚入れてお出かけ下さいましな。入ってる主なお店は、CHANEL・シャネル、BVLGARI・ブルガリ、MoMA Design Store・モマ・デザインストア、OMOTESANDO UKAI-TEI・表参道うかい亭、Le Pre Verre・ル・プレヴェールなどです。

 この新しいビルが、我が愛する表参道にコンシャス・ラグジュリーを発信し、東京の新しいカルチャーとして根付くかどうか、楽しみではあります。


 必ずこちらもお読み下さい。写真はまとめてここにあります。

12/25/2009

プラダ ブティック 青山店 Herzog & de Meuron


 スイス人建築家の設計による表参道の金魚鉢。地震の時、大地は揺れてもプラダ・ビルは揺れない「免震構造」です。

 通称、プラダ・ビルと呼ばれる表参道の「金魚鉢」のご紹介です。ビルのフォルム(形)は別にどーと言うこともない、変則5角形の平面を立ち上げて上の方をカットしたような形態です。ところが、この建物は、表層がすごいンです。設計者は、ヘルツォーク&ド・ムーロン(Herzog & de Meuron)と言う2人の、モコモコ博士と同い年のスイス人建築家です。彼らは「表層の建築家」と呼んでもいいほどに、外壁の仕上げに拘ってる人たちです。

 以前どこかで読んだ記憶で、定かではないのが申し訳ないんですが、ガラスについては「スイスで設計され、ドイツで造られ、スペインで磨かれ、日本で耐候性特殊フィルムが張られた」というような拘りに拘り抜いた外壁なンです。さすがヘルツォーク&ド・ムーロンです。外装をガラスにした一番の理由は、建築をそのままショウーケースにしたかったんじゃないかと考えられます。プラダという建主の意向を酌んで、金魚鉢と同じようなコンセプトを実現するために、建物をできるだけ見せるような余裕のあるランドスケープ(造園を含めた建物周り)を計画し、外から見せる為の内部のインテリアや商品のディスプレーなどもデザインしたと聞いてます。

 建築家としての基本設計はヘルツォーク&ド・ムーロンの2人ですが、意匠設計としての実施設計は日本の竹中工務店が担当しています。構造設計と設備設計についても同じ竹中工務店で、工事を請け負ったのも竹中です。特記に値するモノとして、この建物にはファサード・コンサルタントとしてEmmer Pfenninger Partner AG と言うスイスの会社が参画しています。「ファサード」とは、建築の正面という意味です。通常は道路側の1面でしかありませんが、この建物は4面がファサードと言える程に敷地に余裕を持たせてますから、建物全面のガラスの為のコンサルタントを使ったのだと思います。

 中に入ると、白を基調にした床・壁・天井に、プラダの商品が並べられて商品を際立たせる配慮を感じます。最近の商店建築では常識ともなっている「階」を感じさせないような配慮がチョコチョコとあり、地下の空間は2階まで繋がっていますし、3,4,5階も一部の吹き抜け空間で連続しています。プラダの商品ばかり見ていると気づかないかも知れませんが「あれ今何階にいるんだっけ」との疑問を持つようになります。

 同時に「ん?この建物の中には柱がない」と内部に柱が一本もないことに気づいた人は、かなり建築が好きな人といえます。そうなんです、この建物は「免震構造」を採用してまして、地震がきても大地の揺れを建物に伝えないようになってます。建物は殆ど揺れませんので構造的には通常の「耐震設計」の建物のように頑丈には造る必要がないンです。ダイヤモンド型の外壁に仕込まれている鉄骨とエレベーターを囲んでいるコアと呼ばれる壁が通常の建物の柱の機能を担っている訳です。だから、建物と大地の間に隙間があるでしょ。大きな地震だとあの隙間以上に揺れる筈なんですが、あのサイズで大丈夫かなとも思っていますが、何らかの形で揺れ幅を逃げるようにできてるはずです。

 この際、少々地震と建物について勉強しますか? 地震大国日本に住んでるんですもんね、ちょっと知っておくのもいいかも。

 通常の建物は「耐震構造」になってます。地震が来て建物が揺れても壊れないだけの、地震に「耐える」強度を持たせています。その分、大地と一緒に建物は揺れます。日本の建物の殆どはこの耐震設計の建物です。姉歯が偽装したのもこの手の建物です。

 次に、「免震構造」。大地の揺れを「免除」してくれるように建物を大地に置くように建てること。すなわち、建物の下に巨大なコンニャクのようなゴムパッキンを置いて、大地が揺れても建物は揺れないようにすることです。地震が治まると建物自身が動き始めちゃうので、ダンパーと呼ばれるショックアブソーバーもつけておく必要があります。自動車の好きな人であればスプリングとショックアブソーバーの関係が判ると思うけど、建物にもこの二つがないと妙な動きになってしまうンです。が、取りあえずは、免震のコンニャク・ゴムパッキンだけ知っておけば OKです。

 最後に、「制震構造」。大地と共に建物も揺れますが、その揺れを建物の構造の中に吸収しようと「制御」する構造です。すなわち、電車の中で立っている人が倒れないように、電車の揺れに対して自分の筋肉と関節を使ってバランスを取ろうとするのと同じことです。超高層ビルの鉄骨は大地の揺れに呼応して揺れる所と揺れない所があるのですが、これが制震の機能です。日本の五重塔は地震で倒れたことがないのは木組みの中にこの制震の柔らかさを持っているからです。

 以上、簡単に説明すればそういうこと。で、プラダはこのコンニャクの上に乗っけてある「免震構造」のビルです。スペシャリストの構造技術者の知恵で、地震の揺れを解析し、ゴムパッキンの材質や大きさ、形状などを決め、ジェネラリストの建築家や意匠設計者と協議しまがら全体の構造やデザインを決め、建設している訳でございます。

 鉄骨構造の地下2階、地上7階の建物です。入り口前の広場は免震設計の地下の屋上扱いですから地震の時には揺れないはずです。近々に来るであろう東京大震災の直前にプラダ前の広場にいると大地は揺れません。

 

 必ずこちらもお読み下さい。

 写真はまとめてここにあります。

12/24/2009

From 1st ビル 山下和正


 大人のデートにオシャレな散歩道。街路をそのまま建物の中に引き込んだ外部を内部にデザインしたビルです。エッシャーの不思議空間を楽しめるアナタなら絶対好きになるFrom 1st ビルです。

 なにを隠そう、このビルは、私のファースト・デートの場所でございます。ビルができて間もない頃、ワイフになってくれるかも知れない人と二人で手つないで見に行きました。ブティック、レストラン、カフェなども入る複合ビルで、当時としても革命的に斬新でした。「上の方はアパートになってるの?」との質問に「窓のない出窓の天井から光りを取り入れて、プライバシーを守るようになっている」というような解説をしたことを覚えてます。今でも人が住めるような住戸がいくつもあるかとは思いますが、多分、当時からSOHOとして小さな事務所が入っていたように思います。少なくとも人の生活感などは漂ってはいません。

 このビルの特徴は、街路をそのまま建物の中に引き込んだような、オープンな共用空間です。建物としての入り口は曖昧で、そのまま路地を曲がって入ってきたような空間になっています。ビルに入り口がないような計画で、斬新なアイデアと言えます。建物のほぼ中央には囲まれた外部があって、雨が降れば濡れます。エレベーターや階段、廊下は全て外部扱いですから、道行く人は誰でも入ってこれてしまう造りです。こんなとこまで入って来ていいの?なんて感じる所にまで入れます。階段で最上階まで行ってみましょう。「へー、こんな建物もあるんだ」と思えます。こんな所に住んだら楽しいだろうなー、なんて思うのは私だけではないはずです。道路から半階さがって店舗やレストランがあり、半階あがった所と2階にお店が並んでいます。

 1976年に竣工したビルで、鉄筋コンクリート造一部鉄骨鉄筋コンクリートの地下2階・地上5階建です。設計は山下和正。銀座ソニー・ビルのはす向かい、宝くじ売り場の並びに建っている三角屋根に丸い玉を乗せたヨコシマな銀座・数寄屋橋派出所なども設計した人です。築後31年も経っていますが、未だに革新的なコンセプトは死んではいません。1977年に日本建築学会賞を受賞しています。

 この建物には、当時としては珍しく建築プロデューサーが関わってるんです。彼女を連れて見に行って、この革新的な建物コンセプトは建築家だけのアイデアではないかも知れないって感じました。建築プロデューサーの仕事の範囲は明確には判りませんが、誰なのか気になりました。浜野安弘と言う人です。当時は浜野商品研究所の代表でしたが、現在は社名を浜野総合研究所としています。渋谷駅前の交差点に、でかいモニターをそのまま外壁としたビルがありますが、その建物もプロデュースしてる人です。「オレは建築家とは話しが合わない」とケンカばかりしてる人らしいんですが、面白そうな人ではあります。博士自身の事務所の直ぐそばに住んでいて、たまに汚い格好でふらふら歩いてます。ちょっと大柄でお腹の出た白髪交じりの普通のオッさんです。


 必ずこちらもお読み下さい

 写真はまとめてここにあります。

12/22/2009

日本看護協会ビル 黒川紀章


 黒川紀章さんが、2007年1012日、心不全のため亡くなった。73歳だったそうだ。最近は、都知事選や参議院選に出馬し、世の注目を浴びた。理解に苦しむような言動も多く、妙な人だとの評も多く聞かれたが、建築家としては、かなり立派な人ではあった。若い頃には大阪でのExpo70にタカラ・ビューティリオン他の建物を発表され、私を含めて当時の若き建築学徒にかなりの刺激を与えた。建築の理論運動・メタボリズムを背景に、新橋に中銀カプセルタワーや自邸別荘など矢継ぎ早に現実の物とした。「共生」と言う言葉も使い始めたのは彼であったように思う。

 そんな黒川さんが設計した建物が表参道にもある。並木の歩道を歩いていると、ふーっと空間が広がる場所がある。そのまま視線も空間に向く。日本看護協会ビルだ。表参道の並木道では、わずかにここだけである。メチャクチャに高い土地代の場所に、あそこまで建物をセットバックし、意図的に地上階を大きく解放した設計であり、からっぽの空間を持ってくることは、経済効果を考えると普通できることではない。1階の一番いい場所に2階への階段を置き、見上げれば、なんと、向こうに大きな空が見える。ここに黒川さんの強烈な反骨精神を見ることができる。お¥儲けよりも、何も置かない空間を優先した計画は、凄い。ただただ凄い事だ。商業主義に負けない建築家としての反骨であり、黒川紀章だからできた計画である。何もない空間に彼の思想が充満している。

 昔ここにあった日本看護協会の建物は、暗く重苦しく、協会の看板だけが目立つような、表参道の並木道に相応しいとは思えない印象だった。黒川さんのビルでは、1、2階、階段の両サイドを店舗とすることにより、原宿のショッピングストリートの連続性を維持し、町並みに大きく貢献し、表参道のコミュニティーと共生するようになった。日本看護協会ビルの完成によって看護協会の活動がより発展し又、表参道の発展にも役立っている。

 オーナーである日本看護協会の出入り口は、ガラス張りの円錐形のタワー、クリスタル・コーンと呼ぶ人もいる所にある。ドアーを開けて入ると左手に看護協会の受付、手前には地下の多目的ホールに向かう螺旋階段がある。見上げると天井がないクリスタル・コーンの内部が見え、面白い骨組みがみえる。受付までなら、入ったところで誰にも叱られないので、是非行ってみよう。3階のJNAプラザでは無料で各種の企画展もやっているので受付のおネーちゃんに聞いてみよう。先日(10月いっぱい)までは、私はチョット遠慮しちゃいましたけど、「乳ガン特別企画展」をやってました。

 竣工したのは、2004年ですから、3年前で未だ新しいビルですね。構造は鉄筋コンクリート、鉄骨、鉄骨鉄筋コンクリートの複合の構造です。主要用途は事務所・店舗・集会所で地下2階。地上8階建て。カーテン・ウォールと呼ばれる、外壁に構造上の力が掛からない造りになってます。建ってる場所は、表参道ヒルズの向かいです。建物の真ん中に大きな階段がありますので、すぐに判ります。建物に向かって右側に日本看護協会の名前の入ったコンクリートの壁があり、クリスタル・コーンの入り口があります。ついでながら、表参道界隈で彼の設計したものは、南青山3丁目交差点のベルコモンズがあります。


 必ずこちらもお読み下さい。

 写真はまとめてここにあります。


12/20/2009

スパイラル ビル 槙 文彦



 この「スパイラル」ビルは、実は、世界的にチョー有名なビルです。米国の大学院で建築を勉強している学生で、この建物を知らない人はいない、ほどのものです。表参道界隈では最も注目すべき格調高いビルなんですね。ブラジャーなんかの下着メーカーのワコールが文化事業の拠点として使ってます。

 無論誰でも気軽に入れるビルで、1階には、大きな喫茶・軽食のお店、それに沿って美術展が頻繁に行われるギャラリーがあり、奥に大きな吹き抜け空間、そこにビルの名前になったスパイラル(らせん)の通路があり、美術展などを鳥瞰するように、2階の雑貨のお店に自然に誘うようになってます。

 道路側の広い廊下と階段部分がいい。実はここは3階にある劇場のホワイエとして使われるのですが、普段は通路ギャラリーとして使われます。ここの青山通りを見渡せる2階のホールにはイタリアの建築家・マリオボッタが設計したスチールとゴムでできたグレーの椅子が並べられて、いつでも誰かが座ってます。何故か一人の人が多く、やたらに落ち着いちゃって、眼下の人の流れを静かに楽しんでます。無料で開放されてますので「地下鉄・表参道B-1出口前のスパイラル2階、ボッタの椅子に座って待ってる」との約束は、表参道交差点・みずほ銀行前よりもかなりオシャレな待ち合わせ場所だと思いますね。雨にも濡れないし、エアコン聞いてるし、静かで座れるもん。

 設計したのは、世界的にチョー有名な槙文彦という人。1928年生まれだからもうかなりのおジーちゃんとも言える人ですが、凄い人なんです。定番の東京大学を卒業し、米国の建築の学校では最高峰とも言える、知る人ぞ知るの、大学院しかないクランブルック・アカデミー・オブ・アートとハーバード大学の両方で修士課程を修了している生粋のエリートっす。米国の中西部セントルイスにある、同じく建築の学校では著名なワシントン大学での助教授、東大の教授の経歴もある人です。現在は建築の設計事務所である「槇総合計画事務所」の代表で世界を相手に、品格の高い作品を残していますね。最近のモノで我々の目に多く触れるのは、六本木ヒルズのテレビ朝日新社屋ですかね。因みに、代官山をメジャーにした低層の「代官山ヒルサイドテラス」もこの槇文彦っす。テレビなどのメディアでは見たことのない人ですね。

 このスパイラル・ビルは、1985年竣工の築後22年でこのあたりでは古い方の部類に入ってしまいますが、ビルは未だ新築のごとく美しい。無論頻繁なメンテナンスに寄るところは大きいのですが、特徴の一つは外壁で、他では見られない5ミリ厚のアルミの無垢材を使っているんです。5ミリというのは、異常に厚いんです。通常は1,2ミリほどの凸凹したアルミ・スパンドレルなどが使われますが、このビルは5ミリ無垢単板のアルミ素地なんですよ。建築の設計屋さんは「すげーなー、オレも一度でいいから、こんな材料使ってみてーよ」の羨望の外壁材です。普通は使いません。厚手の素地のモノは経年変化しにくく、いつまで経っても美しいのです。女性を相手にするブラジャー屋さんのビルには相応しい外壁材ではあります。今度、外壁をトイレをノックするように叩いてみてください。「おー、すげーな」と思えるアナタは、それだけでこのビルの虜になります。

 主要構造(柱と梁のこと)はSRC造といって、鉄骨を鉄筋コンクリートで囲んだものです。仕上げ材ですべて隠れていますが、頑丈な作りではあります。

 このビルだけを見に行ってもいい、価値ある建物です。「建築家? アタシ槇文彦が好き」なんてのたまう女性はそれだけで素敵です。


 スパイラルの写真はまとめてここにあります。
 必ずこちらもお読み下さい.



はじめに (建築)

 ここにご紹介する建物は、単に私個人が気になった建物です。私の事務所がある表参道界隈に建っているビルと私自身が設計したモノもアップしてゆこうと考えています。基本的には、既存の人気サイト「おもてサンド」の「たてもの観察ゼミ」に紹介されたモノで、全て私が写真を撮り、文章を書いたモノをベースにしています。

  私の書く文章の中に、ビルの設計者に対して大変失礼な文言が含まれているかとも思います。何も判っていない私、第三者の勝手な批評、論評などでご気分を損ねたり、セクハラに近い発言などもあるかと思います。しかし、建築の知識の全くない一般の方々に対して、判りやすく楽しく読める文章は必要だとも思っています。

 建築メディアの多くは批判的な記述と共に新たに竣工したビルを紹介することは殆どありません。建築の中に不正や不備が見つかれば、建築以外のメディアは容赦なく批判の対象とします。そんな建築の置かれている社会状況の中で、一建築家の忌憚のない建物紹介があってもいいと思っています。

 このページで気分を害された設計者の方は、是非ともコメント欄にクレームを頂きたいとも思っています。建築について詳しい知識のない一般の方のコメントも大歓迎です。このページが切っ掛けとなって議論がわき上がるとも思えませんが、正直に自分の意見、反論をいただければ、そのまま残しておきたいと思っています。

 くれぐれも、悪意のないご意見を期待しています。ひどい場合には削除させていただきます。